雑記および拍手にてコメントいただいた方へのご返信用です。
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LC時代に身体の関係のあったデジェカルが、転生した現代で再会してまた身体の関係を持つという妄想です。
今回は、LC時代に、デジェカルが肉体関係を持つ話です。
※転生後、カルディアはカル子になっています。
あと、聖戦後冥界と聖域で協定が結ばれ、暇を持て余したラダマンティスがカル子に求婚しにやってきて、トライアングラーになってからが本番の妄想です。
あしからず。
※来世に繋ぐための話ではあるものの、カル子設定はまったく関係ありません。
*
*
*
カルディアが倒れたという報を受けたのは、任地アテナイで帰り支度をしている最中のことだった。デジェルは事後処理を従者に任せると、取るものも取らず、聖域へ引き返した。
デジェルとカルディアの付き合いは、もう5年に及ぶ。
師クレストが戯れに拾って来た少年は、最初こそ外部育ちゆえの奇行や身体の細さ、体力の低さが目立ち、教皇や同僚の頭を悩ませていたが、いまや立派な蠍座の黄金聖闘士になっていた。
近年では、クレストが施したアテナの秘術も不完全ながら安定し、デジェルが呼ばれるほどの発作を起こしたことはほとんどなかったというのに。
駆けつけた天蠍宮では、マニゴルドがデジェルの帰還を待ち受けていた。以前ならば体調を崩したカルディアの傍にいるのはシジフォスの役目だったのだが、新たなアテナが見出され、その傍仕えにシジフォスが抜擢されたことで、教皇の弟子のマニゴルドに役割が巡って来たのだろう。
「カルディアの様子は?」
「…あんまりよくねえな。」
マニゴルドは肩を竦めて、寝室の扉を開けた。縄張り意識の高いカルディアは普段よほどのことがない限り、寝室に人を踏み入らせようとはしないので、マニゴルドは気を遣ったのだろう。どうせ付きっきりで看病したところで、マニゴルドには、カルディアの熱を鎮めることは出来ないのだ。
それは、デジェルのみにできる治療だった。
任地が国内だったのは、不幸中の幸いだった。もし今回の任務が国外だったら…いや、今は、目の前のカルディアに意識を集中しなければ。
デジェルはマニゴルドが見守る前で、ベッドで熱に浮かされ喘いでいるカルディアの手を取った。熱い。いつもカルディアの手を握るたび、デジェルはそのあまりの熱さに息を飲んでしまう。とうてい人間が耐えることのできる熱ではないからだ。
意識を集中させ、握り締めた手を通して、カルディアの身体を構成する分子に働きかける。
小宇宙のうねりに、カルディアが身じろぎした。薄く開かれた焦点の合わない目が、迷い子のように周囲を彷徨った。デジェルはカルディアの手を強く握り締めた。
「私はここ(聖域)にいる。だから、お前もここ(浮世)にいろ。」
かすかにカルディアの口端が緩んだ気がしたのは、気のせいかもしれない。
しだいにカルディアの体温がさがり、動悸が治まって来ると、デジェルは小宇宙を緩めて肩の力を抜いた。
「…もう大丈夫だろう。」
「そうか。じゃあ、俺は教皇宮に行って、お前の帰還を報告してくる。お前はもう少しカルディアの傍にいてやってくれ。」
「わかった。…こいつは、今度は何をしでかしたんだ?」
カルディアが意識を失くすほど心臓から熱を放出させるなど、よほどのことだ。自分の記憶にある限り、任務にも出ていなかったはずだが、と眉根を寄せながら問いかけるデジェルに、マニゴルドが嘆息してみせた。
「俺も帰って来たばかりでよくは知らねえが…、勝手にどっかほっつき歩いてきて、帰って来たとたんにぶっ倒れたらしい。まあ、無事なら良かった。この調子なら、あと2時間もすりゃけろりとしてるだろ。」
もしかすると、シジフォスが顔を見せない原因もこのあたりにあるのかもしれない。教皇に伝手のあるマニゴルドから聞いた話、しかも黄金聖闘士一の問題児カルディアの話でなければ、デジェルも一生に伏して信じなかったことだろう。
実力主義の聖域で十二柱の一角を担う身でありながら、任務ですらない騒動で命を落としかけるなど、前代未聞の珍事に違いなかった。
思わず言葉を失うデジェルに、マニゴルドは呆れ交じりに唇を歪めた。
「まあ、カルディアだからな。ありえねえ話ではないだろ。」
確かに、カルディアであれば、ありえない話ではない。
去り際、マニゴルドはふと思い出したようにデジェルを振り返った。
「そうだ。ジジイが、明日はカルディアと一緒に8時に教皇宮に来いとよ。新たなアテナにお見目だそうだ。」
「了解した。カルディアも必ず連れて行こう。」
「ああ、そうしてくれ。」
2時間後、カルディアはけろりとした顔で林檎を食べていた。催促されたデジェルは冷えた水を差し出してやりながら、カルディアに文句を言った。
「あまり無理はするな。心臓に悪い。」
今度こそ最期かもしれない。
そう思いながら、何度、任地から聖域へとんぼがえりしたことだろう。
しかも、今回は任務ですらない、勝手な行動の末の結果だというではないか。苛立ちを隠そうともしないデジェルを、差し出された水を飲みながらカルディアは不思議そうに見た。
「お前も、サーシャみたいなことを言うんだな。」
「…サーシャ?」
「どっかのガキだよ。あいつ、俺のこと馬鹿だって言ってびーびー泣くんだぜ?マジ勘弁して欲しいよな。」
その、素性も知れない子どものために命を落としかけたというのか。
デジェルは唇を噛み締めた。
今までもカルディアの身勝手さには散々振り回されてきた。あえて口出ししなかったのは、それこそが、カルディアの魅力だと思っていたからだ。クレストも、カルディアの衝動的な小宇宙こそを蠍座の神髄だと褒めていたではないか。
だが、もはや我慢の限界だった。
「それはお前に非がある。残される者のことを少しは考えてみたらどうだ。」
「は?何でだよ?」
心底理解しかねるといった様子で、カルディアが目を丸くした。
「わかんねえな…俺の命、俺がどう使おうと俺の勝手だろ。何で、俺の命をお前が気にするんだ?」
心臓の病のために家族からも見放され、療養所に押し込められたカルディアにしてみれば、自分のことを気にかけてくれるものは不在だった。それは、カルディアに責があるのではない。獣が空を飛ぶことを知らず、魚が肺呼吸を知らないように、カルディアの辞書には在りえない存在、在りえない認識だっただけだ。
だから、カルディアにとって、自分の命だけは自分だけのものだった。自分が生きたいように生き、死にたいように死ぬ。死ぬために、否、死ぬ前に生きる。それだけが、カルディアの望みだった。
それを本能的に感じとったデジェルは、カルディアの言葉に何と返せば良いのかわらなくなった。
カルディアと異なり未来を嘱望されてきたデジェルは、クレストに師事する誉れを賜り、その期待に応えるべく一心に水瓶座の黄金聖闘士の座を目指した。デジェルにとって、自分の命は自分だけのものではなく、聖域に帰属していた。なぜ生きるのか問われれば、いずれ来る聖戦のためだ、と躊躇なく答えられたに違いない。
今日、このときまでは。
「そんなことを言うな。」
しゃり、と林檎を食む音がした。無頓着にカルディアが言う。
「は?だって、本当のことだろ。」
首を傾げるカルディアが黙る気配はない。いつもならば気にならないカルディアの勝手な言動が、このときばかりは、癇に障った。
デジェルはカルディアから林檎を取り上げると、衝動のままに口を封じた。びくりとカルディアの肩が跳ねた。頭の片隅で、いい気味だと思った。
高熱のせいか、触れたカルディアの唇は乾ききってかさついていた。
最初は、キスとも言えないような、表面がぶつかっただけのキスだった。だが、気づけば熱心に舌を絡めていた。
首に腕を絡めたまま背中から倒れたカルディアに引かれ、ベッドに肘をつく。デジェルの身体の下で、肩で息吐きながらカルディアが笑った。
「…お前でもこういうことするんだな?意外だ。」
低く笑うカルディアの目は、面白がるように眇められている。
その余裕ぶった態度にむっとしたデジェルは、赤く濡れた唇を指でなぞりながら、ぶっきらぼうに答えた。
「少し黙っていろ、情緒に欠ける。」
カルディア相手に情緒も何もないことは、互いに、重々承知だった。第一、こんな偶発的な関係に情緒を求める方が無理だ。
カルディアのにやにや笑いがなおいっそうひどくなった。
「お前がそういうなら、黙ってやるよ。」
「ああ、そうしろ。」
「初めてでわかんねえし、後は全部任せた。せいぜい楽しませてくれよ?」
首に腕が回る。デジェルはいつか暇を持て余して手に取った禁書の同性愛の項目を思い返しながら、カルディアを見据えた。
同性はおろか、人を抱くことすら初めての経験だが、不足する経験は知識が補ってくれるだろう。
「善処しよう。」
そう言って、戯れのように口付けた。
軽薄な状況とは裏腹の、心からの発言だった。
(※ブログなのでエロは割愛しました。あとで気が向けば書きます。)
同僚と肉体関係を持ってしまった手前、翌朝の出仕はいささか気後れのするものだった。
しかし、普段とまったく変わらないカルディアを目にした途端、デジェルは憂慮だったと気付いた。同時に、カルディアにとっては、昨夜の行為は犬に噛まれたような程度の認識なのかもしれないという事実に思い至った。
何とも腹立たしい限りだ。
急速に機嫌の下降した親友の様子にカルディアは首を傾げたが、意に介した様子もなく、欠伸をしながら教皇宮へ続く廊下を歩き始めた。
「慎め、カルディア。お前、やっと現代のアテナ様との初お目見えだというのに…。」
「タイミング悪いな、現代のアテナ様はよ。俺だって昨日戻ったんだ。…なのにこんな朝っぱらから集合って…勘弁してくれよ。」
「任務でもない外出で勝手に死にかけて帰るお前に問題があるんだ。」
そう嗜めれば、カルディアは不意に笑声を上げた。
「どうせいつかは死ぬんだ。俺が死んでも泣くなよ、デジェル?」
快活に笑うカルディアに、それは無理な話だと返せればどれだけ良かったことか。
「…善処しよう。」
どうせ、その「いつか」はやって来るのだ。聖戦を前に黄金聖闘士である限り、否、人間である限り、それは避けられない運命だった。
それならば、その「いつか」が到来するまで、デジェルはカルディアが生きられるよう傍に立ち続けようと思った。
今回は、LC時代に、デジェカルが肉体関係を持つ話です。
※転生後、カルディアはカル子になっています。
あと、聖戦後冥界と聖域で協定が結ばれ、暇を持て余したラダマンティスがカル子に求婚しにやってきて、トライアングラーになってからが本番の妄想です。
あしからず。
※来世に繋ぐための話ではあるものの、カル子設定はまったく関係ありません。
*
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カルディアが倒れたという報を受けたのは、任地アテナイで帰り支度をしている最中のことだった。デジェルは事後処理を従者に任せると、取るものも取らず、聖域へ引き返した。
デジェルとカルディアの付き合いは、もう5年に及ぶ。
師クレストが戯れに拾って来た少年は、最初こそ外部育ちゆえの奇行や身体の細さ、体力の低さが目立ち、教皇や同僚の頭を悩ませていたが、いまや立派な蠍座の黄金聖闘士になっていた。
近年では、クレストが施したアテナの秘術も不完全ながら安定し、デジェルが呼ばれるほどの発作を起こしたことはほとんどなかったというのに。
駆けつけた天蠍宮では、マニゴルドがデジェルの帰還を待ち受けていた。以前ならば体調を崩したカルディアの傍にいるのはシジフォスの役目だったのだが、新たなアテナが見出され、その傍仕えにシジフォスが抜擢されたことで、教皇の弟子のマニゴルドに役割が巡って来たのだろう。
「カルディアの様子は?」
「…あんまりよくねえな。」
マニゴルドは肩を竦めて、寝室の扉を開けた。縄張り意識の高いカルディアは普段よほどのことがない限り、寝室に人を踏み入らせようとはしないので、マニゴルドは気を遣ったのだろう。どうせ付きっきりで看病したところで、マニゴルドには、カルディアの熱を鎮めることは出来ないのだ。
それは、デジェルのみにできる治療だった。
任地が国内だったのは、不幸中の幸いだった。もし今回の任務が国外だったら…いや、今は、目の前のカルディアに意識を集中しなければ。
デジェルはマニゴルドが見守る前で、ベッドで熱に浮かされ喘いでいるカルディアの手を取った。熱い。いつもカルディアの手を握るたび、デジェルはそのあまりの熱さに息を飲んでしまう。とうてい人間が耐えることのできる熱ではないからだ。
意識を集中させ、握り締めた手を通して、カルディアの身体を構成する分子に働きかける。
小宇宙のうねりに、カルディアが身じろぎした。薄く開かれた焦点の合わない目が、迷い子のように周囲を彷徨った。デジェルはカルディアの手を強く握り締めた。
「私はここ(聖域)にいる。だから、お前もここ(浮世)にいろ。」
かすかにカルディアの口端が緩んだ気がしたのは、気のせいかもしれない。
しだいにカルディアの体温がさがり、動悸が治まって来ると、デジェルは小宇宙を緩めて肩の力を抜いた。
「…もう大丈夫だろう。」
「そうか。じゃあ、俺は教皇宮に行って、お前の帰還を報告してくる。お前はもう少しカルディアの傍にいてやってくれ。」
「わかった。…こいつは、今度は何をしでかしたんだ?」
カルディアが意識を失くすほど心臓から熱を放出させるなど、よほどのことだ。自分の記憶にある限り、任務にも出ていなかったはずだが、と眉根を寄せながら問いかけるデジェルに、マニゴルドが嘆息してみせた。
「俺も帰って来たばかりでよくは知らねえが…、勝手にどっかほっつき歩いてきて、帰って来たとたんにぶっ倒れたらしい。まあ、無事なら良かった。この調子なら、あと2時間もすりゃけろりとしてるだろ。」
もしかすると、シジフォスが顔を見せない原因もこのあたりにあるのかもしれない。教皇に伝手のあるマニゴルドから聞いた話、しかも黄金聖闘士一の問題児カルディアの話でなければ、デジェルも一生に伏して信じなかったことだろう。
実力主義の聖域で十二柱の一角を担う身でありながら、任務ですらない騒動で命を落としかけるなど、前代未聞の珍事に違いなかった。
思わず言葉を失うデジェルに、マニゴルドは呆れ交じりに唇を歪めた。
「まあ、カルディアだからな。ありえねえ話ではないだろ。」
確かに、カルディアであれば、ありえない話ではない。
去り際、マニゴルドはふと思い出したようにデジェルを振り返った。
「そうだ。ジジイが、明日はカルディアと一緒に8時に教皇宮に来いとよ。新たなアテナにお見目だそうだ。」
「了解した。カルディアも必ず連れて行こう。」
「ああ、そうしてくれ。」
2時間後、カルディアはけろりとした顔で林檎を食べていた。催促されたデジェルは冷えた水を差し出してやりながら、カルディアに文句を言った。
「あまり無理はするな。心臓に悪い。」
今度こそ最期かもしれない。
そう思いながら、何度、任地から聖域へとんぼがえりしたことだろう。
しかも、今回は任務ですらない、勝手な行動の末の結果だというではないか。苛立ちを隠そうともしないデジェルを、差し出された水を飲みながらカルディアは不思議そうに見た。
「お前も、サーシャみたいなことを言うんだな。」
「…サーシャ?」
「どっかのガキだよ。あいつ、俺のこと馬鹿だって言ってびーびー泣くんだぜ?マジ勘弁して欲しいよな。」
その、素性も知れない子どものために命を落としかけたというのか。
デジェルは唇を噛み締めた。
今までもカルディアの身勝手さには散々振り回されてきた。あえて口出ししなかったのは、それこそが、カルディアの魅力だと思っていたからだ。クレストも、カルディアの衝動的な小宇宙こそを蠍座の神髄だと褒めていたではないか。
だが、もはや我慢の限界だった。
「それはお前に非がある。残される者のことを少しは考えてみたらどうだ。」
「は?何でだよ?」
心底理解しかねるといった様子で、カルディアが目を丸くした。
「わかんねえな…俺の命、俺がどう使おうと俺の勝手だろ。何で、俺の命をお前が気にするんだ?」
心臓の病のために家族からも見放され、療養所に押し込められたカルディアにしてみれば、自分のことを気にかけてくれるものは不在だった。それは、カルディアに責があるのではない。獣が空を飛ぶことを知らず、魚が肺呼吸を知らないように、カルディアの辞書には在りえない存在、在りえない認識だっただけだ。
だから、カルディアにとって、自分の命だけは自分だけのものだった。自分が生きたいように生き、死にたいように死ぬ。死ぬために、否、死ぬ前に生きる。それだけが、カルディアの望みだった。
それを本能的に感じとったデジェルは、カルディアの言葉に何と返せば良いのかわらなくなった。
カルディアと異なり未来を嘱望されてきたデジェルは、クレストに師事する誉れを賜り、その期待に応えるべく一心に水瓶座の黄金聖闘士の座を目指した。デジェルにとって、自分の命は自分だけのものではなく、聖域に帰属していた。なぜ生きるのか問われれば、いずれ来る聖戦のためだ、と躊躇なく答えられたに違いない。
今日、このときまでは。
「そんなことを言うな。」
しゃり、と林檎を食む音がした。無頓着にカルディアが言う。
「は?だって、本当のことだろ。」
首を傾げるカルディアが黙る気配はない。いつもならば気にならないカルディアの勝手な言動が、このときばかりは、癇に障った。
デジェルはカルディアから林檎を取り上げると、衝動のままに口を封じた。びくりとカルディアの肩が跳ねた。頭の片隅で、いい気味だと思った。
高熱のせいか、触れたカルディアの唇は乾ききってかさついていた。
最初は、キスとも言えないような、表面がぶつかっただけのキスだった。だが、気づけば熱心に舌を絡めていた。
首に腕を絡めたまま背中から倒れたカルディアに引かれ、ベッドに肘をつく。デジェルの身体の下で、肩で息吐きながらカルディアが笑った。
「…お前でもこういうことするんだな?意外だ。」
低く笑うカルディアの目は、面白がるように眇められている。
その余裕ぶった態度にむっとしたデジェルは、赤く濡れた唇を指でなぞりながら、ぶっきらぼうに答えた。
「少し黙っていろ、情緒に欠ける。」
カルディア相手に情緒も何もないことは、互いに、重々承知だった。第一、こんな偶発的な関係に情緒を求める方が無理だ。
カルディアのにやにや笑いがなおいっそうひどくなった。
「お前がそういうなら、黙ってやるよ。」
「ああ、そうしろ。」
「初めてでわかんねえし、後は全部任せた。せいぜい楽しませてくれよ?」
首に腕が回る。デジェルはいつか暇を持て余して手に取った禁書の同性愛の項目を思い返しながら、カルディアを見据えた。
同性はおろか、人を抱くことすら初めての経験だが、不足する経験は知識が補ってくれるだろう。
「善処しよう。」
そう言って、戯れのように口付けた。
軽薄な状況とは裏腹の、心からの発言だった。
(※ブログなのでエロは割愛しました。あとで気が向けば書きます。)
同僚と肉体関係を持ってしまった手前、翌朝の出仕はいささか気後れのするものだった。
しかし、普段とまったく変わらないカルディアを目にした途端、デジェルは憂慮だったと気付いた。同時に、カルディアにとっては、昨夜の行為は犬に噛まれたような程度の認識なのかもしれないという事実に思い至った。
何とも腹立たしい限りだ。
急速に機嫌の下降した親友の様子にカルディアは首を傾げたが、意に介した様子もなく、欠伸をしながら教皇宮へ続く廊下を歩き始めた。
「慎め、カルディア。お前、やっと現代のアテナ様との初お目見えだというのに…。」
「タイミング悪いな、現代のアテナ様はよ。俺だって昨日戻ったんだ。…なのにこんな朝っぱらから集合って…勘弁してくれよ。」
「任務でもない外出で勝手に死にかけて帰るお前に問題があるんだ。」
そう嗜めれば、カルディアは不意に笑声を上げた。
「どうせいつかは死ぬんだ。俺が死んでも泣くなよ、デジェル?」
快活に笑うカルディアに、それは無理な話だと返せればどれだけ良かったことか。
「…善処しよう。」
どうせ、その「いつか」はやって来るのだ。聖戦を前に黄金聖闘士である限り、否、人間である限り、それは避けられない運命だった。
それならば、その「いつか」が到来するまで、デジェルはカルディアが生きられるよう傍に立ち続けようと思った。
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