雑記および拍手にてコメントいただいた方へのご返信用です。
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某御方とそういう話になったのでちまちま書いています。
明日は東京に遠出する都合、間が空くので、前半部?1話目?アップです。
ラダマンティス→カルディア、かつ、ラダマンティス×ミロ、かつ、カノン×ミロ、です。
後編?は、3P予定です。あしからず。
※R18展開です。
明日は東京に遠出する都合、間が空くので、前半部?1話目?アップです。
ラダマンティス→カルディア、かつ、ラダマンティス×ミロ、かつ、カノン×ミロ、です。
後編?は、3P予定です。あしからず。
※R18展開です。
ラダマンティスは苦虫を噛み潰した顔で差し出されたウゾを呷った。場所は、海底に在るアトランティス文明の残骸。つまり、ポセイドンの支配下である。そのような敵陣営で前後不覚になる程酒を嗜むのは愚かなことと承知してはいたが、どうにもやりきれない思いがラダマンティスを酒に駆らせていた。
アテナ、ハーデス、ポセイドンの間で協定が結ばれたのは半年前のことだ。アテナとハーデスの何千年にも及ぶ不毛な争いにポセイドンが調停を申し出た形だった。ポセイドンにしても地上の覇権を争う陣営の一つである。その神が調停を買って出たことでまたぞろあの偽の海龍に何事か吹き込まれたらしいと噂が立ったが、当のポセイドンも海龍もどこ吹く風とばかりに素知らぬ顔でいたため、こうして三国間協議が成立したのだった。この協議は、いずれかの陣営が不意を突いて約定を違えない限り、続けられるらしい。
それは、良い。ハーデスを無二の主と仰ぐラダマンティスにしてみれば、主君の決断に口を挟むつもりはないのだから、右を向けと言われれば右を向くだけである。ラダマンティスはミーノスのように内心不満を抱くでもなく、アイアコスのようにパンドラへ噛みつくこともなしに、唯々諾々と協議の場――かつてポセイドンの力を手に入れるため当時のパンドラと訪れた海底の国へ派遣された。それが、3ヶ月前のこと。
250年ほど前に訪れた場所は相も変わらず湿っぽく黴臭く思われたが、それもどうでも良い話だ。問題は、ハーデスの信頼に応えることが出来るか否か、与えられた任務をやり遂げられるか否か。それだけである。
ラダマンティスは武勲で慣らした男であるため政治的手腕というものはなきに等しく、武骨なあまり人間関係の構築も極めて下手だったが、ハーデスから篤く信を寄せられているのだと思えば、元敵の輩とも親しく付き合う心づもりではいたのだが。
いささか、難航気味だった。
いや、ポセイドン陣営から派遣された海龍カノンとは、それでもわりかし親しくやっているのだ。何度かこうして酒を交わす程度には。
ラダマンティスは腹の読めない、どこか面白がった笑みを湛えているカノンをちらりと一瞥した。武勲に重きを置くラダマンティスは、双子座の黄金聖衣なしで、しかも地の利が己に在る冥界で互角に張り合ったカノンを高く買っていた。何を考えているのかわからないところが不気味に感じられることもあるが、ミーノスの比ではないのでさほど気にかけたことも「なかった」。
そう、それは過去の話で、今は気にかかるのである。何故ならば、冥界からの使者をラダマンティスにするよう指定したのは眼前の男だと聞き及んだからだ。策を弄されるのは好きではない。それが、厄介な状況に巻き込まれつつあると自覚すればなおさらである。
「お前たちのことを、アテナとポセイドンは承知されているのか?」
不意に沈黙を破った言葉に、カノンが口端の笑みを深くしてウゾの酒瓶を傾けた。ラダマンティスは注がれた酒を再び一息に呷ってから、いささか焦点の定まらない座り気味の目でカノンを睨みつけた。
「答えないということは、知らないのだな?お前という男は…そのような面倒に巻き込まれる俺の身にもなってみろ。」
予想外に声色に苛立ちが籠ったが、それも仕方のない話だろう。ラダマンティスはカノンからウゾの瓶をひったくると、並々とグラスに注いだ。アルコール度数の高い酒で、本来はこのように生のまま呷るべきではないとわかってはいるのだが、どうにもやりきれない思いが強かった。
「何故、俺がお前を巻き込んだと思う?」
笑いながらカノンが言う。ラダマンディスは憤懣やるかたなく吐き捨てた。
「知らん。あえて知ろうとも思わん。」
「まあ、そう言うな。それは、お前が、俺が唯一認めた男だからだ。」
「唯一?笑わせてくれるな。ミロはどうした。まさか、認めておらんとは言わせんぞ。」
「ミロは恋人だ。恋人と友を同列に置くつもりはない。」
夜ごと響くあられもない悲鳴や、ミロの肢体の端々に残された痕から推察してはいたが、改めて現実を突きつけられると思いの外堪えた。まんじりともせず黙りこむラダマンティスの方へ、身を乗り出したカノンが笑った。自嘲にほど近い、事の成り行きを皮肉がる笑みだった。
「自覚がないだろうから教えてやるが、お前がミロを見つめるときの熱っぽさと来たらどうだ。やつは馬鹿だからガンを飛ばされているのだと勘違いしているが、傍から見たら誤解しようのない熱視線だぞ?」
「答える義務はない。」
「別に答えてもらう必要もない。見ればわかる。」
ラダマンティスはギリリと奥歯を噛み締めた。
カノンの言うことは正しい。自分が欲情の眼差しをあの黄金の蠍へ向けている自覚はあった。恋人に散々弄られたと思しき痣や噛み痕を目にするたび、それをつけたのが自分であったなら、と暴力的な衝動に突き動かされ、何度手を伸ばしかけたことか。この三巨頭が一人、天猛星の翼竜、ラダマンティスがである。まったく、お笑い草ではないか。笑うに笑えない。
そもそも、ハーデスのために生涯を捧げると誓っているラダマンティスが他人に心を許したのは一度きり、前回の聖戦の折である。きっかけは、目の前で可笑しそうに笑っている男と同じだ。激烈な蠍の猛毒、未だ興奮さめやらない真紅の衝撃。そして、浮かされるばかりの高熱。実に愚かしい話だが、あのとき、ラダマンティスは恋に落ちたのだった。出会い頭の事故のような不本意な感情と、思いがけず胸を突く愚かな感傷に、どれほど辛酸を舐めさせられたことか。返す返す、忌々しい小虫だ。
カノンとラダマンディスの現在を分かつのは、その感情を認め、相手の哀れみを乞うたか否か、それだけである。聖戦が終結すると、一時的に双子座の黄金聖闘士となっていたカノンは海龍の海闘士に戻り、いつか想い人と謳歌する日を夢見て神々と協定を結ばせ、蠍の心臓を射止めた。おそらく、プライドもへったくれもなかったに違いない。
一方、ラダマンティスはといえば、何もしなかった。生まれ変わった現在の蠍にかつての記憶がないことを知りながら、前世と今生は別物だと理解しながらも、未練がましく思いを寄せる自分がラダマンティスには許せなかった。だから、この3ヶ月間、ラダマンティスはカノンのあからさまな誘惑を気づかないふりをした。戦士としての腕前はまだしも、まだまだ年若く人を疑うことを知らない蠍が、神をも誑かした男に丸めこまれて落とされていくさまを黙認していた。
それもこれも、自分には関係のないことだと思っていたからだ。自分には関係のないことだと、思いこもうとしていたからだ。
カノンの率直な意見に、さしものラダマンティスも嘆息をこぼした。
「…それほど、俺は見え透いているか?」
「明け透けすぎるほどにな。そういうところも、俺は、嫌いではない。」
とっさに、お前に好かれようとは思っておらん、と返しそうになったが、嘘を突くのは本意ではない。鼻を鳴らすに留めるラダマンティスの様子に、カノンは楽しそうに青い目を煌めかせると、長い足を組み換えて笑みを浮かべた。
「ラダマンティス、お前、男を抱いたことはあるか?」
唐突な問いかけだった。ラダマンティスは眉間にしわを寄せ、眼前の男の思惑がわからない不安に駆られながら、不機嫌に言い返した。
「ふざけるな。あるわけなかろう。」
「俺もやつと出逢うまではそう思っていたんだがな、これが意外と具合が良い。慣れれば、女よりよっぽど良いくらいだ。男同士、互いにどこが良いか知りつくしているからだろう。」
「それがどうした。勝手に言っていろ。俺には関係ない。」
「まあ、そう言うな。なあ、一度くらい抱いてみたいと思わんか?」
思いがけない提案にラダマンティスは絶句しかけたが、生来の負けん気が勝った。ラダマンティスはにやにや人を食ったような笑みを浮かべているカノンはどうせ本気ではないのだと判断すると、勢いよくグラスをテーブルに叩きつけた。ラダマンティスは短気で矜持も高い方だ。面目を潰され、おめおめ黙っておられる性質ではない。
憤然と立ち上がり眼光鋭く睨みつけるラダマンティスの反応をまるで予期してかのように、あるいは元より長髪であったなら予期してしかるべきなのだが、カノンは笑みを湛えたまま怒髪天を突く勢いの男を見上げた。
「そんなにかっかすると足に来るぞ?だいぶ呑んでいたからな。」
「ふざけるな!俺は、」
そこで、ラダマンティスは異変に気づいた。殺気とは言い難いが、異変に項の毛が粟立っている。状況を把握するためとっさに振り向こうとした体は傾いで、背中から地面へ倒れ込んだ。痺れたように身体が動かない。ラダマンティスははじめて、心の底から、敵陣営に踏みこんでおきながら警戒を怠った己を怨んだ。
「そら、言っただろう。」
すげなく言うカノンの声には、僅かに意地の悪い嘲笑が滲んでいる。ラダマンティスは立腹した。
「貴様、何をした…!」
「俺は何もしていない。やったのはやつだ。」
動かない体に苛立ちながらも顎をしゃくってみせたカノンの先を目で追うと、一時的に聖域へ帰還しているはずのミロが立っていた。ミロは呆れ顔で両者を交互に見やり、ラダマンティスへ憐憫の視線を投げかけた後、満足そうに笑っているカノンを睨んだ。
「まさか本当にリストリクションが効くとは…カノンよ、ラダマンティスにどれだけ呑ませたのだ?」
「呑ませておらん。言いがかりは寄せ。やつが勝手に呑んだのだ。」
ふふんと得意げに笑うカノンへ再度呆れの眼差しを向けたミロは、一転して険しい顔つきになると、床に倒れ伏しているラダマンティスの眼前で仁王立ちしてみせた。
「…聖域へ帰るふりをしてみれば、すぐさまこれだ。カノンが言ったことは本当だったのだな。」
空色の目に浮かぶのは紛れもない鮮やかな憤激だったが、かつて一度目にした、真紅の希望と愉悦に満ちたあの目に似ていた。自らの心臓が発する熱に耐えきれず死んだ蠍と、眼前の蠍に似通ったところなどほとんどない。魂こそ同じで外形も似ているが、生まれ育った環境に因るものか、髪色や目の色も、内包する性格も、何もかもが違っている。だからこそ、伸ばしかけた手を下ろし、カノンの好きにやらせていたというのに――ラダマンティスの胸中に、微かな悔恨と紛れもない欲情が翻った。ずくりと下半身に熱が籠った。
無意識のうちにわいた唾を嚥下するラダマンティスを見下ろし、ミロが形の良い唇を噛み締めた。
「ラダマンティス、お前が誰に秋波を向けようとどうでも良いが、その「誰か」がカノンとなれば話は別だ。良いか、よく聞け。カノンは俺のものだ。お前に、カノンはくれてやらん。」
己の勘違いなど疑ってもみない、噛みつくような口ぶりだった。視界の端で、首謀者がくつくつと笑っている。ラダマンティスは呆気にとられ、何と答えるべきか皆目見当がつかなかった。まったく予想だにしてみない誤解だった。まさか、この翼竜がミロのいない隙に他人の男を寝取るような姑息な男に見えたのだろうか。いや、見えたからこそ、この状況なのだ。
片腹痛い誤解ではあったが、人間関係の構築が苦手なラダマンティスにしてみれば、これ以上ないほどややこしい状況だった。ラダマンティスはカノンに秋波を送っているのではない。ミロを欲情の対象として見ているのだ。それを説明してミロの厄介な疑念を晴らせば、自分ですら終ぞ認めようとしなかった恋情を認めることになる。
窮地に立たされたラダマンティスの胸倉を勢いよくミロが掴みあげた。正々堂々を良しとするミロにしては腑に落ちない行動だが、一発殴られて済むのであればそれも良いだろう。ラダマンティスが腹を括ると、その身体を乱暴に引き寄せたミロが勢いよく噛みついて来た。がり、という小さな音と共に鉄臭さが広がった。
唇に歯を立てられたのだと気付いたのは、ミロが自分の唇に付着した血を舐めとり、挑戦的な目でカノンを見やったときだった。
「カノンはお前が性欲を持て余しているだけなのだと弁明していたが、俺は誤魔化されないぞ。お前にカノンをくれてやるつもりはない。お前だけではない、誰にも、だ。だが、本当に性欲を持て余しているだけなのであれば、俺が発散させてやる。」
ちらりとミロの視線が下半身へ向けられる。ラダマンティスは先ほどから膨らんだままのものに顔から火を吹く思いがした。しかし、であればこそ、ミロが勘違いの末に妥協案を提示しようとしているのだ。
「お前のそれは、好きにさせてやる、というスタンスではないがな。」
傍観を決め込んだ元凶がからかう。
「うるさいぞ、カノン。揶揄するな。元はと言えば、お前が言い出したことだろう。」
ミロは顔をしかめてみせてから、自由の効かないラダマンティスの身体を床に押しつけ、腹の上へ跨った。眼には奇妙なかげろいがあった。リストリクションという技を発動しているせいかもしれないし、動物的な本能で自分より体格の良い雄を組み伏せる状況に興奮しているのかもしれなかった。
つづきます。
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