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昨夜未明、眠い中カタカタやっていたらよくわからなくなったので、最初から書き直します。


氷河×ミロでした。



広大な面積を誇る城戸邸には、グループ総帥の沙織が生活をする本館とは別に、聖闘士が滞在するための特別棟がある。もっぱら沙織の護衛としてやってきた黄金聖闘士が日本に滞在するとき利用する場所なのだが、幼いころから沙織を知っている星矢や紫龍は特別に滞在を許されている。
その週、珍しく氷河は帰国していた。誕生日のある週なので、沙織にぜひ城戸邸に滞在するよう勧められたのだ。
今は聖域に拠点を移したカミュの代わりにシベリアにいる氷河も、日本に来たときは、基本的に、この特別棟を利用している。腹違いの兄弟がいて話に事欠かないのも理由の一つだが、カミュやミロといった親交のある黄金聖闘士に会える可能性があるからだ。もっとも、ごくまれに、デスマスクやサガと出くわしてしまい、ひどくばつの悪い思いをすることもあるのだが。
聖戦までは「外」育ちの青銅聖闘士にすぎず、シベリア在住ということもあって聖域事情に明るくなかった氷河は、聖域に顔を出すようになってから、聖闘士がみな、一般人とは異なる理由から誕生日を重んじている事実に気づかされた。
誕生日はすなわち守護星座に通じる。
聖闘士たちは、誕生日に、生まれてきたことやこれまで生き延びたことではなく、星の加護の下に生まれたことを祝った。サガの乱や聖戦を経て、聖域でも薄れつつある伝統だったが、黄金聖闘士はいまだ誕生祝いに重きを置く傾向にあった。


だから、もしかしたら、あの人に会えるかもしれないと思ったのだ。


時計が0時を回ると同時にノックの音が響き、もの思いに耽っていた氷河ははっと顔を上げた。いつになく興奮していたのは、20歳の誕生日だったせいだろう。もしかすると、という希望が先だって、考える前に扉を開けていた。
「おめでとう、誕生日氷河!これ、ぼくから。」
訪問者は、瞬だった。神の依り代になった過去を持つ瞬は、城戸邸本館の一角に個室を与えられ、そこで暮らしているのだが、朝まで待ち切れず飛び出して来たらしい。安堵すると同時に、落胆も覚えた。礼儀を重んじるあの人が、こんな夜更けに訪問することはないとわかってはいるのだが。氷河の胸中など露知らず、瞬はにこにこ笑いながら、大きな紙包みを押しつけてきた。
「ほら、早く開けてみてよ!」
弾む声が、瞬の気持ちを伝えている。瞬の気遣いをむげにできず、氷河は口端に小さな笑みをたたえると、急かされるまま紙包みを解いた。
「あっちは寒そうだから、ジャケットにしてみたんだ!」
瞬はそう言うと、内側に毛皮が縫い込まれた暖かそうなレザージャケットを氷河の身体に当て、自分の見立てに狂いはなかった、と得意そうに頷いてみせた。
「今日、沙織さんはパーティーを企画しているみたい。もう聞いた?」
「辰巳さんから少しだけな。予定を開けておくように言われた。」
「辰巳さんらしいや。氷河も覚悟しておいた方が良いよ。ぼくのときは、本当に盛大にやったから。」
数ヶ月前の20歳の誕生日を思い返したのか、瞬は気恥ずかしそうに、鈴の音のような笑い声を立てた。まるで無垢な子供のそれだ。氷河と1年に満たない年齢差だというのに、瞬はいつも軽やかに微笑う。その笑声を耳にするたびに、氷河には、ハーデスが現世の肉体に瞬を選んだのももっともだと思った。きっと、瞬は氷河のように浅ましい感情を持て余したりしたことはないのだろう。
「じゃあ、また朝に。みんなが押しかける前に、それだけ手渡しておきたかったんだ。」

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調子に乗って主役のサーシャのお遊戯会を大なしにし、シジフォスに怒られるカルディア

を、描いてみたものの、あきた…だと?!
いつものことですねわかります。


元気なカルディアが元気なのが好きです。

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書き損じ…?
なぜ暗くなるし、と、頭を抱えております。
もしかしたら、続くかもしれません。





ひと夏の恋 (さなだて)

ひとつだけあの世に持っていけるとしたら、なにを持っていくか。
孫市の問いかけに、本陣で銃の手入れに余念のない政宗はわずかに眉をひそめた。戦を控えているというのに、あまりにも、孫市がひょうひょうとしていたからだ。政宗は雇い入れたばかりの眼前の男が、己を裏切って徳川につくはずはないと重々承知していたものの、やはり、なにを考えているのかわからず、不安に思う面はあった。
手を休めた政宗の視線を真っ向から受け止めた孫市は、すがめられた独眼にも臆することなく、にっと人好きのする笑みを浮かべた。口にこそ出さないが、どうやら、孫市は、本心から政宗が冥途になにを持ちこむつもりなのか、気にかかっているらしく、おかしがる目の奥は表面どおり笑ってはいなかった。
もしかすると、雑賀として味方につく際、必ず雇い主に質す問いなのかもしれない。あるいは――。
政宗は答える気になれず口を噤むと、再び、銃身へ目を落とした。
しばらく孫市は政宗を見下ろしていたが、答えるつもりがないことを見抜くと、小さく嘆息をこぼして、雑賀衆の方へ去っていった。
目敏い男だ。ひとが見つからぬよう苦心したというのに、あの男は、あっさり見つけてしまった。
政宗は自嘲の笑みを浮かべ、手首に結びつけた六問銭を頭上に掲げた。長年、戦場で携えられていたらしい六問銭は、世辞にもきれいとは言いかねたが、大坂で政宗の心を捉えて離さなかった持ち主のように、ひどく人心を引きつけるあやしい光があった。
本当は、孫市にひとこと言って安心させてやれば良いのだと、政宗にもわかっていた。しかし、政宗は、どうしてもその気になれなかった。六問銭、と答えただけでは、孫市は納得しないだろう。さきほどのように、端から死ぬつもりなのか、と無駄な詮索をされるのも億劫だった。
政宗は決心を鈍らせたわけでも、世を儚んだわけでもない。売名や自己満足のためだけに、生を投げ打つつもりもなかった。政宗は伊達の当主なのだ。あのものとは違い、泥をすすってでも生きる義務があった。そこを、なにものにも縛られることのない雑賀の長は見当違いしていた。
政宗が死ぬ?政宗を知るものは、口を揃えて否定するに違いない。
にもかかわらず、政宗が六問銭を携帯する理由は、ただ、ひとつだけ。政宗は、肝心の今際に六問銭を落としていった男へ六問銭を届けてやりたかったのだ。あの男の生きざまに触れたことで、自分ははるか高みを目指すことができたのだと、礼を伝えたかった。
政宗は溜め息をこぼすと、天幕の向こうに広がるどしゃぶりの空を睨みつけた。
機は熟した。
今日、独眼竜は空へ昇る。

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書き損じです。


仕事のため1日間を開けたら、テンション的につらくなりました。
今は、聖闘士だったら裸族のサガが書きたいです()
週末、バサラの三政♀で御鈴廊下ネタをアップ出来たら良いなあと思います。







ミロの幼少期の話が出たのは、毎週水曜日恒例の双児宮での夕餉のときだった。
いつからか、双児宮では、毎週水曜日に、サガをまじえての夕餉の時間が持たれるようになっていた。きっかけは、長い間離れ離れになっていた双子の軋轢をなくそうとしたミロの提案だったように思う。それとも、寝食を惜しんで教皇職に身を投じるサガを心配したアテナの要請だっただろうか。両方かもしれない。忘れてしまったくらいだから、大したことではなかったのだろう。いずれにしても、毎週水曜日にサガが手土産を持って、今ではカノンの守護する双児宮へやって来るのが習慣となっていた。
カノンの兄であるサガは、あまり酒を嗜まないサガのためにミネラルウォーターを取りに下がったミロの背を見ながら、少し目を細めて嬉しそうに微笑んだ。あまり見ることのない、心からいつくしむ笑みだった。
「ミロも成長したものだな。以前はあんなに小さかったのに。」
カノンは突然の兄の言葉におどろいて、パンをちぎる手を休めた。
当然だが、存在を隠されていたカノンはミロの幼少期をほとんど知らなかった。自分が出会う前のことも知りたいという余裕が生まれたのは、聖戦の影響で混乱していた聖域が落ち着きを取り戻し、ミロの恋人の座を得て、ミロ自身を知り、しばらく経ってからだった。つまり、ごく最近だ。それにしても、ほとんど、自分の前に恋人がいたのかどうかという一点に終始していたので、カノンはやっぱりミロの過去を何も知らないも同然だった。
ごくまれにミロから語られる昔話は、十二宮の階段を駆け降りるのはどちらが早いかアイオリアと競争して、二人して転がり落ちた失敗談や、小さい頃はオリーブが苦手で食べられなかったというほんのささいなことで、他人が絡むようなことは口にしなかった。前者にしても、ふっと口を滑らせただけである。ミロがあまり昔の話をしようとしないのは、同じく聖域に居を構えながら、存在しないものとして扱われていたカノンに気を使ってのことかもしれなかったが、カノンはそのことをあまり気に留めていなかった。ミロのはじめての恋人はカノンで、おそらく、最後の恋人もカノンだろう。その事実だけあれば、カノンは心から満足できたのだ。
けれど、サガの口から小さかった頃のミロの話を聞いたとき、おかしな話だが、はじめてカノンの余裕は崩された。これまで、同じ聖域にいたのだから、サガがミロの幼いころを知らないはずがないのに、どういうわけか、自分と同じでサガもミロの幼少期を知るはずがないと思い込んでいた事実に気づかされたのだ。
こうなると、恋人であるカノンは面白くない。カノンは少し眉間にしわを寄せ、パンを皿の上に置くと、まだ目をやさしく弓なりにして笑んでいるサガに食ってかかろうとした。しかし、急に気が変わって、サガの方へ身を乗り出すと、小声で言った。声が小さくなったのは、恋人のいないすきに恋人の過去を問い質すのが、後ろめたい気がしたからかもしれない。
「ミロの知っていることを教えろ。」
サガは少し面白そうに唇を綻ばせて、カノンを見つめた。誰もいないときに、カノンだけに見せる、得意ぶった眼差しだった。
「なぜ、お前に教えなければならない?」
みなが聖人の生まれ変わりともてはやすサガは、カノンにだけ意地の悪い真似をする。幼少期の名残だろうか。だとしたらたちの悪いくせだと思いながら、カノンはサガを睨みつけた。
「食事の礼だと思え。」
「礼ならば、手土産を持ってきただろう。あれでは不服か?」
余裕の笑みを崩さずに、サガが問うてくる。サガにはカノンの考えていることなど、手に取るようにわかっているのだろう。サガとのやりとりに焦れてきたカノンは、不満の唸り声をあげてから、素直に言うことにした。もう、いつミロが帰って来るかわからない。別にミロがいても問題はないのかもしれないが、なんとなく、当人がいるところで昔の話を掘り下げるのは気が引けた。
双子座の黄金聖闘士として聖域に生を受けたサガを兄に持つカノンは、黄金聖闘士であることがどれだけ誉れであり、重責であるか理解していた。けっして自分が浴びることのない脚光を日陰から妬んでいた分、もしかすると、カノンはサガより黄金聖闘士であることをわかっているかもしれなかった。
黄金聖闘士を目指す上で、力技の牡牛座や獅子座に比べて小宇宙の性質に偏りのある蠍座や水瓶座は、ひじょうに狭き門だと聞くから、幼いころから黄金聖闘士になるべく、ミロは羨望の眼差しを浴びていたに違いなかった。それは、サガに対する以上の期待であったかもしれない。これまで、ミロには、楽しいことも、悲しいことも、辛いことも沢山あっただろう。けれど、閉塞した場所でずっと息を殺して生きていた自分には何もないのだという劣等感が、ミロに問いかけることをためらわせた。
おそらく、ミロはカノンが訊けば、何の気なしに応えてくれることだろう。ミロとはそういう男だ。それに対して、カノンは語るべき過去が何もない。光に彩られたミロの生は、誰にも顧みられなかったカノンの生とは真逆に位置していた。
「俺がミロのことを知りたい。」
せがむカノンに、たいして生まれた時間に差があったはずでもないはずの兄は、いかにも年長者らしい、にくたらしい笑顔を見せた。
「最初からそう言え、愚弟が。」
サガはそう言うと、ミロが消えた扉を一瞥し、再び、カノンを見つめた。また、あの、余裕の表情だった。内心、カノンはサガの余裕が面白くなかった。それは顔にも出ていたと思う。けれど、カノンは反論を呑みこんだ。
それまで孤独にうずもれていたカノンの生に光を与えてくれたのはミロだ。カノンが、アテナに対するような義務感でもなく、兄に対する同族愛でもない、純粋な愛情を覚えたのはミロが初めてだった。だから、黄金聖闘士という立場上難しいことは承知の上だったが、カノンの一番がミロであるように、カノンはミロの一番になりたかった。
1時間前まで、カノンは、二人を繋ぎ止める「今」だけがあれば良い気がしていた。しかし、サガの口からミロのことが漏れた今になって急に、置いてきぼりにされたような不安感が押し寄せてきていた。
「…お前は知らないだろうが、」
もったいぶってサガが口火を切ったとき、カノンの愛して止まない小宇宙が近付きつつあった。カノンはよっぽどサガを急かしてやろうかと思いながら、ここで機嫌を損ねてはこれまでの我慢が無駄になると判断し、次の言葉を待った。サガは最後にあのにくたらしい笑みをもう一度見せると、得意げに語った。扉が開く直前のことだったから、きっとタイミングを計っていたに違いない。
「ミロは私の弟子になりたいと言って泣いたのだ。」

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