雑記および拍手にてコメントいただいた方へのご返信用です。
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書きたいだけ、書けるとこだけ、書いていきたいです。
以前、ちょっと書いた「シジフォス×カルディア」物語のショタ編です。
たぶん、いつものパターンで途中で力尽きます。
根気のなさに定評のある管理人ですすいません。
*
*
クレストに拾われたカルディアが連れて来られたのは、ギリシャ国内に位置する「聖域」と呼ばれる場所だった。
カルディアは心臓の病のために療養所へ長いこと収容されていたが、もともとは名のある貴族の子弟である。いずれ祖国に仕えるため、ギリシャの歴史や地理をそれなりに学ばされていた。それにもかかわらず「聖域」という響きに聞き覚えがないのは、ここが本当に秘されるべき場所だからかもしれなかった。
とはいえ、単にカルディアの知識が不足していたせいかもしれない。
真偽のほどはわからない。
聖域に入ってすぐ目に入ったのは、闘技場で鍛錬を積む少年少女の姿だった。年の頃は、カルディアとそう変わらないだろう。
拾われた場所から聖域に辿り着くまでの道中でクレストが勝手にした説明によれば、この場所ではアテナに仕える聖闘士が育成され、いずれ来る聖戦のために技を磨いているとのことだったので、聖闘士候補生に違いない。
内心、カルディアは自由に体を動かす彼らに嫉妬を覚えた。彼らは健やかな身体を持ち、誰よりも自由に近い立場にありながら、あえて束縛される道を選んだのだ。
カルディアには到底考えられない人生だった。
何とも悠長な話ではないか。
人間はいつ死ぬともわからない、明日死ぬかもしれない。
だのに、聖域に暮らす人間たちは、自分が生きている間に来るかどうかわかりもしない戯言を真に受け、実在するかどうか知れない女神を信じて、修行に励んでいるのである。
無様なことこの上なかった。
候補生たちに侮蔑の視線を向けるカルディアへ、クレストは老年を迎えたものだけが見せる諦観まじりの眼に微かに面白がる色を湛え、一瞥投げかけた。
「良いか。お前はこれから、蠍座の黄金聖闘士候補としてここで暮らすのだ。」
「ふざけんなよ。どうして俺がそんなもんにならなきゃなんないんだ。」
返事をせず、クレストは乾いた笑い声を立てた。口先ではどう言おうと、カルディアが本心ではクレストに感謝していることを知っている余裕の笑みだった。枯れ木を思わせる手はしっかりとカルディアの手首を掴んでいた。
カルディアは唇を噛み締めた。
クレストは怪しい術でカルディアから心臓の痛みを取り除いてくれていた。今は不安定で以前以上の激痛に喘ぐこともあるが、いずれはこの痛みも治まるという。
延命の処理を施してくれたことに関しては、カルディアはクレストに感謝していた。それは間違いない。
しかし、カルディアが療養所を飛び出したのは、ベッドから聖域に拘束場所を移すためではない。
今はまだ駄目だが、体調が安定したらこんな場所さっさとおさらばしてやろう。
何度も、そんな思いが胸中に浮かんでは消えた。
だが、本当にクレストが言うように、血の繋がった家族からも見放された自分が役に立てる場所が存在するならば――いや、まだ時機尚早だ。結論を出すのは、体調が安定してからで良いだろう。
十二宮の入口に位置する白羊宮から長く続く階段の先には、神殿のようなものがあった。聖域内に足を踏み入れるまでまったく目につかなかったが、雲のせいだろう。カルディアはそう思うことにした。結界のせいだなどという眉唾な話を信じる気にはなれなかった。
擦り切れたマントを羽織り浮浪者のようななりをしていたクレストは、自分で言うように、ここではそれなりの地位を築いているらしい。齢500年を超すというのも、この不条理な世界に神々が実在するというのも、あながち、嘘ではないのかもしれない。そう信じてしまいそうになるくらい、クレストに対する人々の接し方は丁重を極め、神官や聖闘士たちはこぞって頭を垂れた。
長い階段を上って辿り着いた神殿で、カルディアは教皇と呼ばれる老人に引きあわされた。教皇は憂いを帯びた眼差しでカルディアを観察すると、当の本人など目に入らない様子で、クレストとカルディアについて話し始めた。
「クレストよ、ずいぶん思い切ったことをされたものだな。」
「そう思うか?」
「確かに、その者の小宇宙が衝動的で稀な輝きを放っていることは認めよう。いずれは、蠍座の黄金聖闘士にすらなりうるかもしれない。だが、アテナの秘術を施したとはいえ、その者の心臓が不安定な事実に変わりはない。アテナ直々の秘術ではないのだから、当然だ。小宇宙の練習をしようものならば、その者の生命の灯は途端に燃え尽きてしまうだろう。」
そう甘い話が転がっているとは思っていなかったが、やはり、制限付きの延命処理であったらしい。カルディアは何食わぬ顔のクレストを一瞥してから、渋面を浮かべている教皇を見やった。
「それじゃあ、俺はどうすれば良いんだ?」
ようやく、注目がカルディアに集まった。カルディアは言いたいことを全てぶちまけた。
「あんたたちは好き勝手ばっか言っていて、俺の気持ちなんざお構いなしだ。大体、俺がここに留まると思っているのか?体調が良くなったらすぐにでも、俺はここを出ていくつもりだ。」
もしかするとここならば自分が必要されるかもしれないという薄い期待を抱いていただけに、内心では、やはり自分が必要とされる場所などないのだという失望を感じたが、意地でもそんな素振りを見せず、傲岸に言いきったカルディアへ、教皇の隣で重く口を閉ざしていた青年がようやく口を開いた。
「…教皇の御前だぞ。口を慎め、子ども。」
生真面目すぎる眼には、苛立ちが覗いている。
その身に纏われた黄金の鎧から、噂の黄金聖闘士らしいと見当はついたものの、どうでも良かった。聖域ではどれほど尊敬されるべき地位なのかは知らないが、カルディアが頭を垂れなければならない理由などない。
「俺のことが話題になってるのに、だんまりを決め込めっていうのか?ふざけんな!俺のことは俺が決める!」
無謀にも黄金聖闘士へ噛みついてみせるカルディアに、教皇は呆れ交じりの笑みを湛えた。
「どうもこの子どもは、その身にまとう小宇宙以上に衝動的な性質らしいな。これでは、いつ小宇宙を暴走させて落命するともわからない。そもそも、修行すらままならないだろうに。」
「そうならないようにするのが、お前の仕事ではないのか?」
「…痛いところを突く。」
ここでは、教皇よりもクレストの方が地位は上らしい。
教皇はクレストへ苦笑いを返すと、憤慨のあまり今にも踵を返して教皇宮を飛び出しそうなカルディアへ視線を転じた。
「子どもよ、お前の名は?」
「…カルディア。」
素直に答えたのは、その視線が思いの外強かったからだ。本能的に身を竦めるカルディアへ、教皇は一転して柔和な笑みを浮かべてみせた。
「ではカルディアよ、お前を蠍座の黄金聖闘士候補として歓迎しよう。シジフォス、お前はカルディアの世話をするように。」
反論しても、良かった。
反論すべきだったのかもしれない。
だが、何となく躊躇われているうちに、話はとんとん拍子に進んでいた。シジフォスと呼ばれた黄金聖闘士は一瞬ためらうように眉をひそめたものの、教皇の命令は絶対なのか、反論することもなく、床に片膝をついて受領した。
「嫌なら嫌だって言えば良いだろ。」
カルディアが小声で悪態を吐くと、刺すような視線が飛んで来た。睨みつけられたカルディアは、シジフォスを負けじと睨み返した。
このときのカルディアは知らなかったが、次代の教皇候補に挙げられるほど人格者で知られるシジフォスがそのように感情を露わにするなど――ましてや自戒してしかるべき教皇の面前で不機嫌をあからさまにするなど、滅多にないことだったという。
もしかすると、長く閉鎖され続けたために停滞気味の聖域にも、これで新しい風が吹くかもしれない。
クレストの連れてきた子どもに、教皇セージは一抹の希望を感じた。
以前、ちょっと書いた「シジフォス×カルディア」物語のショタ編です。
たぶん、いつものパターンで途中で力尽きます。
根気のなさに定評のある管理人ですすいません。
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クレストに拾われたカルディアが連れて来られたのは、ギリシャ国内に位置する「聖域」と呼ばれる場所だった。
カルディアは心臓の病のために療養所へ長いこと収容されていたが、もともとは名のある貴族の子弟である。いずれ祖国に仕えるため、ギリシャの歴史や地理をそれなりに学ばされていた。それにもかかわらず「聖域」という響きに聞き覚えがないのは、ここが本当に秘されるべき場所だからかもしれなかった。
とはいえ、単にカルディアの知識が不足していたせいかもしれない。
真偽のほどはわからない。
聖域に入ってすぐ目に入ったのは、闘技場で鍛錬を積む少年少女の姿だった。年の頃は、カルディアとそう変わらないだろう。
拾われた場所から聖域に辿り着くまでの道中でクレストが勝手にした説明によれば、この場所ではアテナに仕える聖闘士が育成され、いずれ来る聖戦のために技を磨いているとのことだったので、聖闘士候補生に違いない。
内心、カルディアは自由に体を動かす彼らに嫉妬を覚えた。彼らは健やかな身体を持ち、誰よりも自由に近い立場にありながら、あえて束縛される道を選んだのだ。
カルディアには到底考えられない人生だった。
何とも悠長な話ではないか。
人間はいつ死ぬともわからない、明日死ぬかもしれない。
だのに、聖域に暮らす人間たちは、自分が生きている間に来るかどうかわかりもしない戯言を真に受け、実在するかどうか知れない女神を信じて、修行に励んでいるのである。
無様なことこの上なかった。
候補生たちに侮蔑の視線を向けるカルディアへ、クレストは老年を迎えたものだけが見せる諦観まじりの眼に微かに面白がる色を湛え、一瞥投げかけた。
「良いか。お前はこれから、蠍座の黄金聖闘士候補としてここで暮らすのだ。」
「ふざけんなよ。どうして俺がそんなもんにならなきゃなんないんだ。」
返事をせず、クレストは乾いた笑い声を立てた。口先ではどう言おうと、カルディアが本心ではクレストに感謝していることを知っている余裕の笑みだった。枯れ木を思わせる手はしっかりとカルディアの手首を掴んでいた。
カルディアは唇を噛み締めた。
クレストは怪しい術でカルディアから心臓の痛みを取り除いてくれていた。今は不安定で以前以上の激痛に喘ぐこともあるが、いずれはこの痛みも治まるという。
延命の処理を施してくれたことに関しては、カルディアはクレストに感謝していた。それは間違いない。
しかし、カルディアが療養所を飛び出したのは、ベッドから聖域に拘束場所を移すためではない。
今はまだ駄目だが、体調が安定したらこんな場所さっさとおさらばしてやろう。
何度も、そんな思いが胸中に浮かんでは消えた。
だが、本当にクレストが言うように、血の繋がった家族からも見放された自分が役に立てる場所が存在するならば――いや、まだ時機尚早だ。結論を出すのは、体調が安定してからで良いだろう。
十二宮の入口に位置する白羊宮から長く続く階段の先には、神殿のようなものがあった。聖域内に足を踏み入れるまでまったく目につかなかったが、雲のせいだろう。カルディアはそう思うことにした。結界のせいだなどという眉唾な話を信じる気にはなれなかった。
擦り切れたマントを羽織り浮浪者のようななりをしていたクレストは、自分で言うように、ここではそれなりの地位を築いているらしい。齢500年を超すというのも、この不条理な世界に神々が実在するというのも、あながち、嘘ではないのかもしれない。そう信じてしまいそうになるくらい、クレストに対する人々の接し方は丁重を極め、神官や聖闘士たちはこぞって頭を垂れた。
長い階段を上って辿り着いた神殿で、カルディアは教皇と呼ばれる老人に引きあわされた。教皇は憂いを帯びた眼差しでカルディアを観察すると、当の本人など目に入らない様子で、クレストとカルディアについて話し始めた。
「クレストよ、ずいぶん思い切ったことをされたものだな。」
「そう思うか?」
「確かに、その者の小宇宙が衝動的で稀な輝きを放っていることは認めよう。いずれは、蠍座の黄金聖闘士にすらなりうるかもしれない。だが、アテナの秘術を施したとはいえ、その者の心臓が不安定な事実に変わりはない。アテナ直々の秘術ではないのだから、当然だ。小宇宙の練習をしようものならば、その者の生命の灯は途端に燃え尽きてしまうだろう。」
そう甘い話が転がっているとは思っていなかったが、やはり、制限付きの延命処理であったらしい。カルディアは何食わぬ顔のクレストを一瞥してから、渋面を浮かべている教皇を見やった。
「それじゃあ、俺はどうすれば良いんだ?」
ようやく、注目がカルディアに集まった。カルディアは言いたいことを全てぶちまけた。
「あんたたちは好き勝手ばっか言っていて、俺の気持ちなんざお構いなしだ。大体、俺がここに留まると思っているのか?体調が良くなったらすぐにでも、俺はここを出ていくつもりだ。」
もしかするとここならば自分が必要されるかもしれないという薄い期待を抱いていただけに、内心では、やはり自分が必要とされる場所などないのだという失望を感じたが、意地でもそんな素振りを見せず、傲岸に言いきったカルディアへ、教皇の隣で重く口を閉ざしていた青年がようやく口を開いた。
「…教皇の御前だぞ。口を慎め、子ども。」
生真面目すぎる眼には、苛立ちが覗いている。
その身に纏われた黄金の鎧から、噂の黄金聖闘士らしいと見当はついたものの、どうでも良かった。聖域ではどれほど尊敬されるべき地位なのかは知らないが、カルディアが頭を垂れなければならない理由などない。
「俺のことが話題になってるのに、だんまりを決め込めっていうのか?ふざけんな!俺のことは俺が決める!」
無謀にも黄金聖闘士へ噛みついてみせるカルディアに、教皇は呆れ交じりの笑みを湛えた。
「どうもこの子どもは、その身にまとう小宇宙以上に衝動的な性質らしいな。これでは、いつ小宇宙を暴走させて落命するともわからない。そもそも、修行すらままならないだろうに。」
「そうならないようにするのが、お前の仕事ではないのか?」
「…痛いところを突く。」
ここでは、教皇よりもクレストの方が地位は上らしい。
教皇はクレストへ苦笑いを返すと、憤慨のあまり今にも踵を返して教皇宮を飛び出しそうなカルディアへ視線を転じた。
「子どもよ、お前の名は?」
「…カルディア。」
素直に答えたのは、その視線が思いの外強かったからだ。本能的に身を竦めるカルディアへ、教皇は一転して柔和な笑みを浮かべてみせた。
「ではカルディアよ、お前を蠍座の黄金聖闘士候補として歓迎しよう。シジフォス、お前はカルディアの世話をするように。」
反論しても、良かった。
反論すべきだったのかもしれない。
だが、何となく躊躇われているうちに、話はとんとん拍子に進んでいた。シジフォスと呼ばれた黄金聖闘士は一瞬ためらうように眉をひそめたものの、教皇の命令は絶対なのか、反論することもなく、床に片膝をついて受領した。
「嫌なら嫌だって言えば良いだろ。」
カルディアが小声で悪態を吐くと、刺すような視線が飛んで来た。睨みつけられたカルディアは、シジフォスを負けじと睨み返した。
このときのカルディアは知らなかったが、次代の教皇候補に挙げられるほど人格者で知られるシジフォスがそのように感情を露わにするなど――ましてや自戒してしかるべき教皇の面前で不機嫌をあからさまにするなど、滅多にないことだったという。
もしかすると、長く閉鎖され続けたために停滞気味の聖域にも、これで新しい風が吹くかもしれない。
クレストの連れてきた子どもに、教皇セージは一抹の希望を感じた。
タイトルのまんまです。
欲望に忠実になってみました。
今月のテーマは、これで行ってみます。
(無双サナダテも構想中ですが、気力が必要そうなのでもうちょっと温める方向で)
双子ミロ♀です。
※管理人が眠たさに負けて、途中で終わっています。
続けたいです。
*
「お前ならば、これがまともな反応なのか、やはり異常なのか、判別できるはずだ。」
そう言って、馬乗りになったミロはシャツを脱ぎ捨てた。
シャツを抜ける際に広がった黄金の髪と、さらけ出されたなめらかな肌からは、あまりに近い距離のせいで、いつもならば気づかないささやかな体臭がした。
サガはしたたかに殴られた面持ちで、呆然とミロを見つめた。
思い知らされたのは、気づかされたくなかった、これまで必死に目を逸らしていた気持ちだった。
頭を振って乱れた髪をまとめたミロは、視線に気づいたものかわずかに頬を綻ばせ、キスをしてきた。
絶望的に甘いキスだった。
発端は、ささいなことだった。
「アテナを殺害しようとした自分には双子座の黄金聖闘士になる資格などない。」
カノンはそう言って、サガが正式に教皇代理職に着任した後、双子座の黄金聖闘士の仕事を一手に担いながらも、けっして黄金聖衣をまとおうとしなかった。
そんなカノンに黄金聖衣をまとわせようと最後まで固執していたのは、サガとミロ、はたしてどちらだっただろうか。
この一件に関して、カノンに大して義理もない他の黄金聖闘士たちはカノンの説得を早々に諦めていた。誰よりも心を許すミロの言葉すら、頑として聞き入れないのだ。他のものの言葉など聞き入れるはずがない。
黄金聖闘士として誰よりもプライドの高いミロは、ミロなりの方法でカノンを思いやり、「それでは黄金聖闘士として、下々に示しがつかないだろう。だいたい、十二宮にいながら黄金聖衣をまとわないなど、言語道断だ。」と憤りもあらわに言い聞かせていたが、どこ吹く風のカノン相手では成果はなかった。
誰より早くカノンを赦免したミロは、カノンがどう言おうと、黄金聖衣をまとおうとしないカノンの自責の念は見当違いはなはだしいと思っていた。実際、カノンが気に病む必要などないのだ。自分の命で自軍の勝利を購った戦士を、なぜ、誇り高い聖闘士が恨み続けなければならない。
気持ちの良い裁定だが、ミロには、他のものもそう断じるのは難しいという現実が見えていなかった。
同じくアテナに謀反を働いた身であるサガは、カノンが黄金聖衣をまとおうとしないのは、聖域に対するしがらみがないせいだと捉えた。
確かに、カノンはアテナに恩義を感じ、アテナのため、身を粉にして働いていた。だが、カノンはアテナのため尽くせれば良いのであって、黄金聖闘士の一人として足並みをそろえなければならない義理はない。
聖戦時はその傲慢な身勝手さに救われる部分もあったが、平時の、それも秩序を重んじる聖域が舞台となれば話は別だ。
自責の念があるからこそ、サガは聖域に尽くせるよう、教皇代理の道を選んだ。いずれは、教皇にもなるだろう。守るべきものがあるからだ。
アテナの他に誰か、カノンにも守るべき存在ができれば、カノンも協調性を学び、黄金聖闘士としての自覚を持つかもしれない。
サガはそう結論づけた。
その守るべき存在とは、安直だが、たとえば、妻子だ。
双子座の黄金聖闘士就任に関しては、アテナがカノンの一存に任せ、まったく口を出さないこともあり、責任を感じたサガは行動に出ることにした。
「…身を固めろ?」
この日、黄金聖闘士の半数が任務で出払っており、残りも諸事情や休暇で聖域を後にしていたため、昼下がりの教皇宮は閑散としていた。
海底で海龍の職務をこなして来たカノンが、帰還の報告をしに来たのは、そんなときだった。
弟に結婚の件をどう切り出すべきか思い悩んでいたサガは、これ幸いとカノンに話を振ったが、当然のことながら、サガの突然の発言にカノンは目を丸くした。
「どうした急に、頭でもわいたか。」
「お前と一緒にするな。お前も良い年だろう。そろそろ身を固めたらどうだ。」
現代にありながら戦乱の世と同じ平均寿命を誇る聖域では、カノンの年齢は、確かにサガの言うとおり子を設けていてもおかしくない年齢だった。
しかし、未婚のサガに命じられる筋合いはない。
言い返そうとするカノンの言葉を、サガが封じた。
「アテナと幼女と既婚者以外であれば誰でも良い。」
身も蓋もない言い方だ。よほど、サガはせっぱつまっているのだろう。
カノンはこの話の裏にどんな企みがあるのか探り出そうとしながら、サガに問い返した。
「アテナと幼女と既婚者以外であれば、誰でも良いのか?」
「お前が愛することができるものであれば、誰でも構わん。私は喜んで祝福しよう。」
「そうか。」
(すみません。眠気に負けました。)
欲望に忠実になってみました。
今月のテーマは、これで行ってみます。
(無双サナダテも構想中ですが、気力が必要そうなのでもうちょっと温める方向で)
双子ミロ♀です。
※管理人が眠たさに負けて、途中で終わっています。
続けたいです。
*
「お前ならば、これがまともな反応なのか、やはり異常なのか、判別できるはずだ。」
そう言って、馬乗りになったミロはシャツを脱ぎ捨てた。
シャツを抜ける際に広がった黄金の髪と、さらけ出されたなめらかな肌からは、あまりに近い距離のせいで、いつもならば気づかないささやかな体臭がした。
サガはしたたかに殴られた面持ちで、呆然とミロを見つめた。
思い知らされたのは、気づかされたくなかった、これまで必死に目を逸らしていた気持ちだった。
頭を振って乱れた髪をまとめたミロは、視線に気づいたものかわずかに頬を綻ばせ、キスをしてきた。
絶望的に甘いキスだった。
発端は、ささいなことだった。
「アテナを殺害しようとした自分には双子座の黄金聖闘士になる資格などない。」
カノンはそう言って、サガが正式に教皇代理職に着任した後、双子座の黄金聖闘士の仕事を一手に担いながらも、けっして黄金聖衣をまとおうとしなかった。
そんなカノンに黄金聖衣をまとわせようと最後まで固執していたのは、サガとミロ、はたしてどちらだっただろうか。
この一件に関して、カノンに大して義理もない他の黄金聖闘士たちはカノンの説得を早々に諦めていた。誰よりも心を許すミロの言葉すら、頑として聞き入れないのだ。他のものの言葉など聞き入れるはずがない。
黄金聖闘士として誰よりもプライドの高いミロは、ミロなりの方法でカノンを思いやり、「それでは黄金聖闘士として、下々に示しがつかないだろう。だいたい、十二宮にいながら黄金聖衣をまとわないなど、言語道断だ。」と憤りもあらわに言い聞かせていたが、どこ吹く風のカノン相手では成果はなかった。
誰より早くカノンを赦免したミロは、カノンがどう言おうと、黄金聖衣をまとおうとしないカノンの自責の念は見当違いはなはだしいと思っていた。実際、カノンが気に病む必要などないのだ。自分の命で自軍の勝利を購った戦士を、なぜ、誇り高い聖闘士が恨み続けなければならない。
気持ちの良い裁定だが、ミロには、他のものもそう断じるのは難しいという現実が見えていなかった。
同じくアテナに謀反を働いた身であるサガは、カノンが黄金聖衣をまとおうとしないのは、聖域に対するしがらみがないせいだと捉えた。
確かに、カノンはアテナに恩義を感じ、アテナのため、身を粉にして働いていた。だが、カノンはアテナのため尽くせれば良いのであって、黄金聖闘士の一人として足並みをそろえなければならない義理はない。
聖戦時はその傲慢な身勝手さに救われる部分もあったが、平時の、それも秩序を重んじる聖域が舞台となれば話は別だ。
自責の念があるからこそ、サガは聖域に尽くせるよう、教皇代理の道を選んだ。いずれは、教皇にもなるだろう。守るべきものがあるからだ。
アテナの他に誰か、カノンにも守るべき存在ができれば、カノンも協調性を学び、黄金聖闘士としての自覚を持つかもしれない。
サガはそう結論づけた。
その守るべき存在とは、安直だが、たとえば、妻子だ。
双子座の黄金聖闘士就任に関しては、アテナがカノンの一存に任せ、まったく口を出さないこともあり、責任を感じたサガは行動に出ることにした。
「…身を固めろ?」
この日、黄金聖闘士の半数が任務で出払っており、残りも諸事情や休暇で聖域を後にしていたため、昼下がりの教皇宮は閑散としていた。
海底で海龍の職務をこなして来たカノンが、帰還の報告をしに来たのは、そんなときだった。
弟に結婚の件をどう切り出すべきか思い悩んでいたサガは、これ幸いとカノンに話を振ったが、当然のことながら、サガの突然の発言にカノンは目を丸くした。
「どうした急に、頭でもわいたか。」
「お前と一緒にするな。お前も良い年だろう。そろそろ身を固めたらどうだ。」
現代にありながら戦乱の世と同じ平均寿命を誇る聖域では、カノンの年齢は、確かにサガの言うとおり子を設けていてもおかしくない年齢だった。
しかし、未婚のサガに命じられる筋合いはない。
言い返そうとするカノンの言葉を、サガが封じた。
「アテナと幼女と既婚者以外であれば誰でも良い。」
身も蓋もない言い方だ。よほど、サガはせっぱつまっているのだろう。
カノンはこの話の裏にどんな企みがあるのか探り出そうとしながら、サガに問い返した。
「アテナと幼女と既婚者以外であれば、誰でも良いのか?」
「お前が愛することができるものであれば、誰でも構わん。私は喜んで祝福しよう。」
「そうか。」
(すみません。眠気に負けました。)
拍手ありがとうございます。
励みになります。
ごはんをモリモリ食べすぎて食べたものの便秘でしんでいました。
あと、貧血。
みなさまはお気をつけください!
間断的に禁酒を断行している今、私には、暴食と散財しかストレス発散の手段は…!!
以下、お寄せいただいたコメントへのお返事です。
励みになります。
ごはんをモリモリ食べすぎて食べたものの便秘でしんでいました。
あと、貧血。
みなさまはお気をつけください!
間断的に禁酒を断行している今、私には、暴食と散財しかストレス発散の手段は…!!
以下、お寄せいただいたコメントへのお返事です。
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