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「ミロ、俺の髪を洗ってくれないか。」
カノンが切り出したのは、私が双児宮に居を移してから6日目のことだった。
戦時でない今、黄金聖闘士の勤務形態は地上のサラリーマンに近い。私とカノンはこれから2日の休暇を迎える予定だった。勤務後、夕食の献立を考えて冷蔵庫の中身を点検していた私は、隣に立つカノンの言葉に、ようやく疑問を抱いた。
思えば、それまでの間、カノンが洗髪していた様子はない。さりとて、右手が不自由なだけで他は健康体であるカノンが鍛錬を免除されていた覚えもない。しかし、眼前で左手を伸ばしてビールを漁るカノンは、汗臭さとは無縁だ。今も、肌が触れ合うほど近い場所から届く香りは、とうてい悪臭とは言いがたい。
「この5日間、どうしていた?」
「地上の美容室に行っていた。しかし、さすがに少し面倒臭くなってきてな。」
それは悪いことをした。毎日通っているのでは、費用も馬鹿になるまい。費用を立て替える旨を伝えると、カノンは面倒臭そうにひらりと手を振った。プライドの高いこの男相手であれば、想定してしかるべき反応だった。
「そんなことで気を病むな。それより、そろそろここの生活にも慣れて余裕が出てきたころだろう。俺の髪を洗ってくれ。」
そう言ったカノンは、器用に左手でプルタブを開けて、実に美味そうにビールを飲んだ。

2時間後、夕食を済ませた私たちは洗髪に挑むことにした。
幸い、双児宮のバスタブは一般的なものより二周りほど大きく、体格の非常に良いカノンが入ってもなお、私が入りこむだけの余裕があった。シャワーも完備されており、ウェット仕様で床には排水溝がついていた。
「水着で来ればいい。もちろん、裸でも良いぞ?」
カノンにはそうからかわれたが、冗談ではない。私は濡れても良いようにランニングシャツに短パンを選び、バンスクリップで後ろ髪をまとめた。
バスタブの端に腰をかける。手が届かないのでもっと寄るよう命じると、カノンの身体を両足で挟む格好になった。
眼前には、がっしりした逞しい背中があった。私は慎重に、カノンの髪へ指を這わせていった。些か癖はあるものの、女が羨むような漆黒の髪だ。少し視線を落とすと、細くくびれた腰と、水着に包まれた形の良い臀部が、泡立つ水面の下で揺れている。
カノンは、ビバリーヒルズの邸にあったプールで、この水着姿を惜しげもなく曝していたのだろう。そうでなければ、背中まで綺麗に焼けている理由がつかなかった。バストにばかり栄養が回って頭の足らないブロンディに、満更でもない様子でにやついていたのかもしれない。
私は無言で、眼下にある己の胸部を見据えた。僅かなふくらみがあるだけである。周囲の女聖闘士は揃いも揃って発育が良かったため、シュラにはひどく不憫がられたものだ。その背中合わせの羨望と自嘲は、ずいぶん昔に乗り越えたと思っていたのだが。いやはや、そうでもなかったらしい。
「おい、どうした?急に機嫌が悪くなっていないか?」
「…気のせいだろう。そういうお前は、上機嫌だな。」
「そりゃ、こんな良い女の足の間で熱心に尽くされれば、男だったら当然の反応だ。」
嬉しそうに目を眇めたカノンが、懐いた猫のように掌へ頭をすり寄せてくる。セクハラ発言を糾弾しても良かったのだが、すっかり毒気を抜かれてしまった私は溜め息をこぼすに留めた。
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