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黄金聖闘士の末っ子として聖域に連れて来られたミロ子。
ミロ子は、サガが失踪したあとに、聖域へつれて来られた。
ミロ子がカミュに引き合わされたのは、宝瓶宮のこと。小宇宙を練っていたのか、極寒の地。カミュは、さすがは水瓶座の黄金聖闘士と納得する美少年。ひびわれ防止でリップクリームを塗っている唇は赤い。
「私なんかよりよっぽど美しいな。」
ミロ子の感嘆に、カミュは眉根を寄せる。初対面でどうも機嫌を損ねてしまったらしいぞ、とミロ子は焦るが、別に侮辱したつもりもない。前言は撤回しない。
翌日、カミュは色つきのリップクリームを買ってくる。よりによって、青。ミロ子は悪趣味だしやることが意外と子供っぽいと思うが、青い唇もカミュに似合っていると思う。
カミュは他の黄金聖闘士たちにさんざんからかわれたりたしなめられたりするが、変に意固地なので、青い口紅を変えない。


9年の月日が流れる。
出会いもあってか、それとも、女聖闘士が珍しいシュラに巻き込まれて3人でよく過ごすせいか、ミロ子とカミュの距離は縮まっていく。
知り合ってそろそろ10年経とうかというころになって、カミュが弟子を取る。シベリアへ行くらしい。
修行地は世界各国にあるし、氷を用いる水瓶座候補の育成には極寒の地が相応しいのかもしれないが、こうして黄金聖闘士が勢揃いし、来るハーデスに備えているときに聖域を離れるなど、ミロ子にはカミュの考えがわからない。同時に、カミュをシベリアへ追いやる教皇の考えもわからない。
どうやら聖域内では口さがなく、カミュが教皇の興を損なったと噂が立っているようだが、実力主義の聖域にあって本来であればそのような下世話な噂からも隔絶されてしかるべき黄金聖闘士のカミュがとやかく言われるのも気にくわない。
ミロ子は何だったら自分が教皇に進言を、あるいは、噂する雑兵たちに仕置きをしても良いとカミュに提案するが、カミュは自分のためにミロ子の評判をおとしめたくないと断って、シベリアへ向かう。


カミュの手紙は、シベリアの環境や、はじめて取る弟子にどのように接するべきかわからないというものだった。
ミロ子は、手紙などというまだるっこしく時間もかかるものよりも、電話を好んだが、時差を理由にカミュは電話に出ようとしなかった。それに、お前の声は、機械を通してよりも直接聴きたい、と言って。
カミュの手紙に、弟子の話が増えた。
氷河とかいうらしい。
何をしたのか知らんが教皇にシベリアなどに飛ばされ親友である私をやきもきさせているのに、楽しんでいるなど、不義理なやつだ。ミロ子は腹立ちのまま、
「弟子などとって、そんなことで黄金聖闘士が務まるものか。いざというときになって、弟子が未練となって死ねないに決まっている。その点、私はこの世に何の未練もないから、アテナの尖兵となって死ぬ覚悟はできている。気楽なものだ。」
カミュは、
「そういうわけでもないと思うが、かっとなっているときのお前には何を言っても無駄だろうな。それより、聖域に残った皆は達者にやっているか?」
無視はしなかったものの、まともに対応もせず、話題を変える。
「なぜ、手紙なんだ?」
問いかけるミロ子に、カミュはいう。
「お前は文通でもしないと、すぐに忙しさにかまけて、私のことなど忘れてしまうだろう。」
「電話だって良いだろう。」
「電話などという無粋な手段は駄目だ。それに、電話では形が残らん。」
強さに憧れるミロ子は、聖域であった近況を語る。
シュラとの訓練、アルデバランやアイオリアの力技。デスマスクはどうも好かないこと。
「どうせそんな僻地にいるのだから、その間、特訓でもして誰よりも強い男となって帰って来い。」
ミロの言いように、カミュは苦笑する。


カミュが帰ってくる。教皇が呼びもどしたらしい。わざわざ。
数年ぶりにあったカミュは、シベリアという風土のせいか、肌が抜けるように白くなっていた。大人びたようだ、もう美少年とは言えない。
それもそうか、ミロ子が25才になったように、カミュも立派な大人になったのだ。
偽アテナの討伐のために黄金聖闘士がわざわざ勢揃い?聖域は、偽アテナの出現で揺れる程度の結束なのか?
そんなはずはあるまい。
内心激怒するミロ子の心情を察して、シュラは近寄らない。八つ当たりをされてはかなわないからだ。カミュがシベリアへ去ってから、ミロ子はシュラにモーションをかけられることもあったが、こういうときに決まって他人事のように逃げ出すずるさが気にくわなくて男女の仲にはなっていない。
そういえば、アイオリアも偽アテナに会ってから、様子がおかしかった。まさか、怖気づいたのか?
息巻くミロ子に、カミュが顔を近づける。ふと差す影に、目を大きくするミロ子。ゆっくり唇が重ねられた瞬間、その眼が見開かれる。
「何のつもりだ?」
「せっかくこうして目の前にお前がいるというのに、お前の口からは他の男の話ばかり…今は聴きたくない。」
ミロ子はキスを深めようとするカミュを押し退ける。
「お前をそういう目で見たことはない。」
「知っている。」
「お前はそういう目で私を見ていたのか?」
「知らなかったのか?」
「私はお前の一番の友のつもりだった。」
「確かに、お前は私の一番だ。だが、友や恋人などというくくりで縛るつもりはない。ミロ、お前はずいぶん偏狭なのだな。」
カミュの返しにかちんとなるミロ子。
「それとも、くくりが必要か?お前が望むならば、親友でも恋人でも何でも、なる努力は惜しまないつもりだ。」
それほど乞われて悪い気はしないミロ子。
それに、カミュは美しい男だ。自分ではとうてい見あわないだろうと端から諦めていた男の求愛に、ミロ子は急にカミュの男らしさを意識してしまい、身体を固くする。
無言でカミュが顔を近づけ、ミロ子をゆっくり横たえながら、キスを深めていく。どちらも初心者ゆえ不慣れで不器用なキスだったが、それがまた、互いを熱くする。
次第にキスに夢中になっていくミロ子。カミュの首へ腕を絡め、呼吸も惜しんでキスに熱中する。
ふと、カミュを見る。青い口紅がはげて、赤く色づいている。キスのせいで腫れた唇は、普段より血色が良いせいか、やけに色っぽい。
からかうミロ子に、
「ミロ、そういうお前は唇が青いぞ。」
憮然として返しながら、
「減らず口が叩けないようにしてやる。」
「ふふ…せいぜい熱くさせて、カミュ。」


聖戦後。
カミュは死んだ。愛弟子氷河の手にかかったらしい。
黄金聖闘士ゆえに死別の覚悟はとうにできていたミロ子は、カミュの「死」自体にはそれほどショックを受けない。他にも亡くなった黄金聖闘士や聖闘士たちはたくさんいるし、聖域の被害も甚大。これしきで立ち止まっていては、黄金聖闘士の名がすたる。
ミロ子は過去を振り向くよりも、アテナのために現在を生き抜くと決めているのだ。
だが、なぜ、よりによって、今?
カミュが死んだのは、ミロ子を抱いた翌日だった。それに、わざわざ氷河の手にかかる必要などない。他にいくらでもやり方はあったはずだ。
氷河を手にかけてやることが、カミュなりの優しさだった?氷河と真っ向から対決をしてやることが?
そんなはずはない。
意固地なカミュのエゴだ。
教皇に追われ聖域に居場所のなかったカミュは、自分の望むとおり、自分の愛する弟子の手にかかって死んだ。その前にミロ子を抱いたのは、ずっとミロ子に忘れさせないためだろう。
カミュへの怒りと悔しさから、ミロ子は荒れる。
カミュは知っていたはずだ、ミロ子が誰よりも強さに憧れ、強いものに惹かれたことを。
「弱い男は嫌いだ。弟子などに負けるようなやつ、話にもならん。」
だがきっと、カミュは知っていたのだ。
今はまだ言い。だが、年を取れば、老いる。老いれば、弱くなる。ミロ子とともに長いときを過ごせば過ごすほど、比例して、ミロ子の愛は冷めていくことだろう。
だから、先手を打って、死んだ。記憶は何にも勝ると知っているから。
「こんなことになるとわかっていたら、くれてやるんじゃなかった。」
ミロ子は腕に顔をうずめ、文句を言う。涙は流れない。生憎、身勝手な男に流してやるような涙は持ち合わせていない。目頭が熱い。
「…あのとき、私はお前に全部くれてやったのに、心だって。」
暗かったはずの部屋に光が差し込む。ミロ子は顔をあげる。


カミュのいない朝が来る。
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